論文の書き方9ポイント
論文の書き方9ポイント
7ポイントから二つ増やしました(191210)。
上手く書けないという人は、8.9.から読んでみてください。
「合わせて読んでおくと良いかも記事」を末尾に追加しました(210512)
※ 「論文の書き方」(Kindle電子書籍)を上梓しました(210928)。
本書は、研究とは何か、幾つかの実験から問いへの解を導くとはどういうことなのか、といったことを概念として理解することで論文の書き方が明確になるという考えから記したものです。
論文の書き方の前に知らなければならないのが「論文とは何なのか」ということです。それには「一連の研究のプロセスの意味」を知らなければなりません。そのためには「研究とは何なのか」を知っていなければなりません。
研究には、証明するための実験が必要ですが、それは「なぜ必要なのか」を知っていなければなりません。
これを概念的に捉えることができれば、論文の書き方がスッと腑に落ちるものなのです。
日本学術振興会の科学研究費 審査委員名簿として既に公開されているとおり、感性情報学・ソフトコンピューティングA、挑戦的研究の審査委員の経験から分かったことは、研究分野の違いとは関係なく、研究とは、何を押さえておけば良いかということを概念として持っている人の研究計画書の文章は違うことでした。
そこで、論文の書き方において概念化ができるように記載したのが本書なのです。
1.問いと根拠ある答えの形式になっていること
感想文やエッセイのような自由な形式は論文ではない.
序論,本論,結論,の形式で構成されなければならない.
序論:あるテーマで問題を立てる.
本論:それについて論理的・実証的に論述を展開する.
結論:立てた問題に解答を与える.
理論と実証のみによって記されなければならない.
文学的表現,美文は不要.
論理的・実証的説得力が不可欠.
2.論文を書くときの注意点
理解と解の2段階の過程が必要
理論を押さえたうえで,自分の意見を論ずる.
自分の意見を立証するために実験を行う.
根拠ある主張を行う.
自分の意見の提案でも自己主張でもない.根拠が必要.
用語を定義する.
論を展開するとき,用語に複数の意味を持たせてはいけない.
過去形で書く.
3.論文の構成
まえがき
目次 (+図目次)
概要
本文(100%)
序論(5-10%)
本論(80%以上)
結論(10%)
文献一覧
索引
あとがき
4.構成上の注意
目的・結論(=問・答)の基本形式であること.
下記の文章構成は,使ってはダメ!
× 起・承・転・結(比喩的効果を高める方法)
× 序・破・急(能の舞や日本舞踊の舞のペース)
× 導入・展開・結末(問題提起と結論がない)
5.文言の注意点
×「です,ます調」→○「である調」
逃げの言い方,どちらともとられる言い方はしない.
×「~と(も)言える」→○「・・と判断した」etc.
×「~と(も)考えられる」→○「・・と考えた」「・・と結論付けた」etc.
口語体は使わない.
×「だから」,「だって」 →○「よって」.「したがって」.「つまり」
×「でも」→○「しかし」
漢字にしない方がいい場合もある.
×「出来る」→○「できる」
×「~の通り」→○「~のとおり」
6.最も大切な点
最もよく陥るケースとして,目的と結論の整合性が取れていないことが挙げられる.
目的をコピーして結論部分へペーストして,結論を記すことを勧める.
7.その他の注意点
結論では,各実験における結論を羅列したのでは(査読者としても)面白くない.
目的に対する結論は当然のこととして,各実験の結論を俯瞰し,総合的結論として新たな視点で(各実験の結果も結論の時点で見るとまた異なった視点で考えることができる)書くことを勧める.
8.最初に概要を過去形で書く
論文が書けない人は、概要を先ず書くことです。
概要は、論文を書き終えた後に要約したものですが、理想の論文を書き終えた時を想像し、概要を書くのです。
注意するのは、過去形で書くことです。
そもそも論文は、結論に導いたことを書くのですから全て過去形で書くのが当然なのです。
それをやり終えてもいない最初の段階に過去形で書くことで、自分がどうすべきかが明確になるのです。
概要が書けるということは、当然目次が書けますから、その次は、目次を書くのです。
9.既存の論文を10編ファイリングする
あなたが書こうとする論文に関するキーワードを含んだ論文をj-stageなどからダウンロードします。通常原著論文は10ページ程度です。それを透明な袋を持ったA4サイズ縦型の薄いファイルに入れます。
一つの論文は、1枚の透明ファイルに入れるのです。二つ目の論文も同様に入れて行きます。
10編の論文を入れると10枚のファイルができるというわけです。
そのタイトルを見て下さい。それが、あなたの論文を補強してくれる知識となっています。
つまり、これが引用文献となるのです。必要に応じて増やしていきます。
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